今後の見通し「アレルギー体質」を理解し、アレルギーを治療する時代から予防する時代へとパラダイムシフトを起こす■研究ポリシー子供は、眼に入るものすべてに興味を持ち、「なぜ」「どうして」と問いかけてきます。研究の原点は、まさに「なぜ」「どうして」と疑問に思う、その好奇心にあると思っています。そのため、常日頃から、好奇心をもち、「なんでそうなるのだろう」「どうしてそうなるのだろう」という疑問を投げかけることを心がけています。これらの疑問を一つ一つ解き明かすことこそが研究であり、その先に新たな発見があると信じています。65(FIGURE 3)。そこで、私は、ILC2に着目し、アレルギー病態の全貌を理解するとともに、根治を実現するアレルギーの治療法を確立することを目指しています。ILC2の発見により、アレルギー研究は一気に加速しました。なかでも、我々は、最近の研究から、アレルギー病態の理解にとどまらず、アレルギーになりやすい状態を指す「アレルギー体質」がどのように形成されるのか、その機序をILC2に着目することで理解できる可能性を見出しました。アレルギー体質とは、曖昧な概念であり、これまで研究の対象となり得ませんでしたが、今後は、ILC2を中心にアレルギー体質の形成機序を理解しようと考えています。体質を理解することができれば、体質を改善することによりアレルギーを発症する前に予防することが可能になります。そのため、我々は、アレルギーをいかに治療するかではなく、いかにアレルギーの発症を未然に防ぐかという、アレルギーを予防できる時代へと導きたいと考えています。FIGURE 1:アレルギー病態は、花粉などに対する抗原特異的免疫応答に加え、大気汚染や寒冷などで誘導される抗原非特異的免疫応答が関与するが、後者の機序は明らかとなっていなかった。FIGURE 2:2型自然リンパ球(ILC2)は、サイトカイン、脂質、神経ペプチドといった環境因子に応答し、2型サイトカインを産生することで抗原に依存しないアレルギー病態に寄与する。FIGURE 3:ILC2の発見により環境因子によるアレルギーの発症機序が明らかとなり、アレルギー病態の全貌理解および新規治療法の開発が期待される。iFremed Integrated Frontier Research for Medical Science Division
元のページ ../index.html#67