研究内容AI技術を用いてエンハンサー活性の組織内不均一性を検出する手法を開発する出典58がん情報科学・技術KEYWORD1. Sur I & Taipale J. The role of enhancers in cancer. Nat Rev Cancer. 2016 16(8):483-93 DOI: 10.1038/nrc.2016.622. Furey T. ChIP–seq and beyond: new and improved methodologies to detect and characterize protein–DNA interactions. Nat Rev Genet. 2012 13(12): 840–852. DOI: 10.1038/nrg3306細胞は一つのゲノム配列から多種多様な機能や臓器を生み出しています。これは遺伝子の発現を状況により変化させることで成し遂げられますが、そのためにはエンハンサー領域と呼ばれる制御領域を適切に調節することが重要になります。細胞内のエンハンサー制御は組織ごとに異なるだけでなく、一つの組織や細胞種の中であっても、エンハンサー制御が異なる、組織内不均一性が存在することが近年指摘されています。これは特にがん分野において、抗がん剤抵抗性の獲得やがんの再発メカニズムに関わる可能性が示唆されており1)、エンハンサー制御を一細胞レベルで検出することが重要になります。しかし現在の技術ではエンハンサー活性は約100万個の細胞の平均値しか求めることができません2)。そこで我々は一細胞レベルで検出可能なエピゲノム情報であるATAC-seqと遺伝子発現情報であるRNA-seqから、ディープラーニング手法を用いてエンハンサー活性を一細胞レベルで検出する手法の開発に取り組んでいます(FIGURE 1)。村上 賢MURAKAMI Ken蛋白質研究所 細胞システム研究室博士課程学生(医学系研究科 血液・腫瘍内科学)ディープラーニング手法を用いた一細胞レベルエンハンサー検出手法の開発
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