今後の見通し関節炎惹起能の高い腸内細菌叢をターゲットとした治療法の開発■研究ポリシー関節リウマチをはじめとする原因不明の自己免疫疾患の病態解明を、臨床検体を用いて行っております。とりわけ、環境要因としての腸内細菌叢の変化に着目し、疾患による違いを明らかにし、疾患モデルマウスやオルガノイドを用いて病態との関連を明らかにする研究に取り組んでいます。疾患特異的な細菌や真菌が病態形成に与える影響が明らかになれば、その微生物をターゲットとした新たな治療法の開発を検討していきます。53疾患発症のトリガーとなっていることを示唆しており、他に類を見ない研究です。我々が着目しているPrevotella copri菌は、関節リウマチ(RA)患者で増多しているだけでなく、穀物や繊維類を主食とする東南アジアやアフリカ諸国の健常者の主たる腸内細菌叢であることが知られています。近年の検討にて、同じPrevotella copri菌であっても多様であり、関節炎誘導能やゲノム構造が異なることがわかりつつあります。まず、P. copri菌による関節炎誘導メカニズムの詳細な解析を行います。また、P. copri菌を除菌することができれば、関節炎を抑制できる可能性があります。具体的には、H. pyloriの除菌療法のように、抗菌薬を用いてP. copriを除菌する方法、もしくは関節炎惹起能の高いP. copri菌に感染したバクテリオファージを対象とした治療などが考えられます。こういったアプローチにより、腸内細菌叢を是正することによる免疫疾患の新たな治療法を開発します。FIGURE 1:関節リウマチ患者の腸内細菌叢の異常。FIGURE 2:関節リウマチ患者のdysbiosisは、Th17細胞依存性の関節炎を誘導する。iFremed Integrated Frontier Research for Medical Science Division
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