今後の見通し生体深部における光医療の実現に向けて、様々なアプローチで光利用効率を向上させ、機能向上を図る■研究ポリシー多種多様な疾病に対する光医療の実現に向けて、従来とは全く異なるアプローチによって生体深部で機能する光増感剤を創出することを目指しています。分子の集合体である『超分子』の特性を利用することで、従来の光増感剤では困難であった、『近赤外光の利用』や『疾病部位選択性』などの光医療の障壁となる課題を打破することを目指して研究を行っています。特に、超分子が非共有結合で構築される点に注目して、様々な機能性分子との複合によって諸問題の解決策を探索しています。31しました。1,2)それらを担癌マウスに投与し、光照射を行い、PDT効果を検討した結果、癌腫瘍の成長を著しく抑制してマウス生存率を大幅に向上させることが明らかになりました。生体深部での低侵襲な光医療を実現するために、多様なアプローチを駆使して有効な超分子光増感剤を開発します。例えば、『近赤外光を吸収する色素』や『光吸収特性が優れた色素』を利用した超分子集合体です。このような超分子集合体が光増感剤として機能することが明らかになれば、脳などの外科的治療が非常に困難な疾病部位の治療も可能になると考えられます。さらに、超分子集合体は非共有結合によって構成されるために多様な分子を容易に複合することができます。この性質を利用して、癌細胞選択性や生体適合性など様々な機能も付与します(FIGURE 2)。生体は非常に複雑であり、LH-PDTを実現するハードルは高いですが、基礎的な知見を集めつつ、大きなブレイクスルーを生み出すよう研究を継続します。FIGURE 1:(A) 従来の光線力学療法 (PDT)と(B) 光捕集補助型光線力学療法 (LH-PDT)の比較FIGURE 2:超分子光増感剤の機能拡張の概要図iFremed Integrated Frontier Research for Medical Science Division
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