今後の見通しAIを含めたコンピュータ技術を積極的に導入することで、医用画像システムに変革をもたらす■研究ポリシー整形外科において、コンピュータ技術による臨床支援の恩恵は大きく、疾患・病態の解明のみならず、新たな手術手技の開発にも寄与してきました。最新の技術を迅速に臨床応用するためには、情報科学者と医学研究者の認識の隔たりを解消する必要があります。そこで、医学研究者として積極的に情報科学を学び、情報科学者との対話を大切にすることで、積極的な提案を可能として、また開発へのモチベーションを共有することが可能となると考え研究に従事しています。29精度の前腕骨遠位部の3次元骨形状を推定可能(FIGURE 2)となっています1)。現在1方向のみの単純X線画像で行っている推定を複数の方向から行うなど、技術の改良を進めることで、より複雑な構造である頭蓋骨など全身の骨、また骨折などの疾患にプログラムを対応させていく予定としています。本技術によりCT撮影を必要としないことで、迅速かつ簡便に3次元画像へアクセスすることが可能となり、医用画像システムに変革をもたらす可能性があります。また、過去の画像に対しても対応可能であり、徐々に骨の変形する疾患など、これまで病態の明らかでなかった疾患の解明の手助けとなる可能性があります。AI技術は日々進化を続けており、我々の生活の中でも欠かせない存在となっています。一方で医療の現場においては、まだまだその存在感は薄いままです。医学研究者が積極的にAI研究を行うことで、医療現場においても欠かせない存在となる日が来るものと考えています。FIGURE 1:使用しているプログラムの概略図。2次元画像から3次元画像の推定を行うネットワーク(赤枠)と画像変換を行うネットワーク(緑枠)の2つのネットワークを組み合わせている。FIGURE 2:推定結果の1例。手関節単純X線画像1枚のみから、前腕遠位部の3次元骨形状の推定が出来ている。FIGURE 3:研究室チームのメンバーとの写真。共同研究先の奈良先端科学技術大学院大学の生体医用画像研究室を含めて多くの方々に支えられて研究出来ています。iFremed Integrated Frontier Research for Medical Science Division
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