今後の見通しシリコン製剤を用いた様々な酸化ストレス関連疾患の治療法開発とその作用機序解明■研究ポリシー私の専門は神経形態学となりますが、研究対象は神経系だけに限らず消化器系、感覚器系や呼吸器系など多岐にわたります。一つの側面のみで考えると解決できない難題も多角的な視点から捉えることによって解決策が見つかることがあります。それゆえ、固定概念とらわれず柔軟な思考で様々な研究課題に取り組むよう心掛けています。特に解析結果に一喜一憂せず、その結果の真意を理解し、楽しく研究に取り組むことを大切にしています。23潰瘍性大腸炎以外にも数多くの予後不良や難治性の疾患の病態に酸化ストレスは関わっています。私はシリコン製剤がそのような疾患モデル動物(パーキンソン病、顔面神経麻痺や間質性肺炎など)の病態緩和にも有効性を示すことを明らかにしてきました。シリコン製剤は水素発生部位である消化器系だけでなく、神経系や呼吸器系などの病態緩和にも有効です。シリコン製剤の抗酸化作用の主軸である水素は有害な活性酸素を特異的に消去できる優れた抗酸化物質であり、これまでに副作用の報告はありません。画期的な水素の生体内投与法であるシリコン製剤が少しでも多くの疾患治療や症状緩和に貢献できれば幸いです。シリコン製剤には、抗酸化作用以外にも抗炎症作用など多様な働きがあります。創薬を目指すうえで作用機序解明は必須であり、今後は多角的なアプローチを駆使してシリコン製剤の標的因子を明らかにしたいと思います。FIGURE 1:潰瘍性大腸炎に伴う大腸粘膜崩壊(上図赤)や内臓の不快感や知覚に関わる神経活性(下図赤)において、シリコン製剤(図青)は大腸だけでなく、過剰な神経活動も緩和した。FIGURE 2:モデル動物を用いた研究より、シリコン製剤は様々な酸化ストレス関連疾患及び老化に有効性を示した。顔面神経麻痺(青字)以外は特許出願中、赤字及び青字は論文となっている。iFremed Integrated Frontier Research for Medical Science Division
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