今後の見通し微細加工技術の深化と情報解析技術の融合による性能向上■研究ポリシー科学の発展は、新たな計測により実現すると言う視点から、既存手法を超える計測技術の開発を目的に研究を行っています。新原理に基づく計測では、確立した既存の計測技術のように期待した成果が得られるとは限らず、一朝一夕に実験結果が得られません。しかし、実験で見られる僅かな計測結果の違いを粘り強く、精緻に追い求めることにより、一歩ずつ新規計測手法の実現を目指します。21た(FIGURE 3)。また、本手法は分子の電気抵抗を直接計測するために、核酸塩基以外の様々な生体分子に対して応用が可能です。これまでに、神経伝達物質やアミノ酸の検出及び識別に成功しました4)。現在の単分子計測手法では、一度にすべてのDNAの情報を得ることはできず、取得できる断片情報から再構成する必要があり、高速な計測の妨げとなっています。また、電流値のばらつきによる識別エラーも存在します。これらの課題を克服するために、ハード、ソフト両面からのアプローチを行います。ハード面では流路機構を組み合わせることにより、DNAの制御を可能にすることや、単分子センシング部位の電極構造を精密化することにより、得られるシグナルの質を向上させます。得られたシグナルは機械学習を利用した新規解析手法を用いて識別、アセンブリ精度向上を行います。このようにして単分子計測を実用的な修飾塩基読み取り可能なDNA・RNAシーケンシング手法として確立し、応用を展開し生物学・医学の新しい知見の発見に寄与します。FIGURE 1:単分子計測手法の概念図とデバイスの電子顕微鏡像。100nm幅の金細線を破断させギャップ形成する。FIGURE 2:単分子計測手法によるDNA・RNAシーケンシングの概念図。各塩基の電子状態の違いを読み取りシーケンシングを行う。FIGURE 3:これまでの単分子計測手法による生体分子検出の報告例。修飾塩基の読み取り、識別や、神経伝達物質などの生体分子の検出・識別が単一分子レベルで可能である。iFremed Integrated Frontier Research for Medical Science Division
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