若手研究者PROFILE 2022
65/68

63iFremed Integrated Frontier Research for Medical Science Division医学系研究科 呼吸器・免疫内科学 教授熊ノ郷 淳21世紀になって登場した抗体医薬に代表される免疫調節薬は、関節リウマチなどの自己免疫疾患治療薬、喘息などのアレルギー疾患治療薬、抗免疫チェックポイント阻害抗体によるがん治療薬として現在臨床で広く使われています。実際、世界の薬の売り上げの6~7割を免疫調節薬が席巻している状況です。このような成果の多くは、1980年代、分子生物学的な手法をいち早く取り入れることにより爆発的に進展した基礎研究の恩恵によるものです。一方で、我が国の現状に目を向けると危機的な状況になっていることに気づかされます。次世代シークエンサーの登場によるBig Data活用、バイオインフォマティクス、臨床データに紐づけられたAI診療、イメージング・画像解析・計測技術開発など、これらの技術革新のキャッチアップにすら汲々としている状況があるように感じます。一見時代を謳歌しているように見える免疫調節薬すらも、実は限られた標的分子に薬剤開発が集中している状況があります。生命医学融合フロンティア研究拠点では、目先の成果ではなく、常に先を見据え、我が国の生命科学研究、とりわけ創薬・治療法の開発に貢献する可能性のある分野横断型の基礎研究を推進することをミッションに掲げています。是非とも意欲的な若い皆様の参画・パフォーマンスに期待しています。

元のページ  ../index.html#65

このブックを見る