若手研究者PROFILE 2022
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今後の見通し疾患横断的解析からより詳細な解析へ■研究ポリシー多くの疾患は遺伝要因と環境要因からなる多因子疾患です。一方で多くの疾患研究ではそのどちらかだけに着目している事が多いのが現状です。私は、バイオインフォマティクスをもちいて、その両方を包括的に理解することを目指しています。特に、免疫細胞を介した自己免疫疾患や神経疾患の病態解明に取り組んでいます。61法を開発しました。この手法を用いて、様々な疾患でのウイルス感染の評価を行っています。最近は疾患ごとにより詳細に解析することにも注力しています。たとえば、重症筋無力症(MG)という、神経筋接合部に対する自己抗体ができてしまう自己免疫疾患では、高頻度に胸腺腫を合併しますが、胸腺の中で何が起こっているかは明らかになっていませんでした。我々は116検体のRNA-seqデータや一細胞RNA-seqのデータを統合解析することにより、胸腺腫内にMG特異的な神経筋分子を発現する細胞集団を同定しました。この細胞集団を中心として、T細胞やB細胞が相互作用することで、MGの病態形成がなされていることを明らかにしました。FIGURE 1:ゲノムワイド関連解析とエピゲノムデータの統合解析により、ナイーブTreg特異的脱メチル化が重要であることを見出した1)。FIGURE 2:開発したパイプラインにより、通常のRNA-seqや一細胞RNA-seqから網羅的にウイルス検出を行うことが可能になった2)。FIGURE 3:重症筋無力症合併胸腺腫のシングルセル解析により、胸腺腫内での重症筋無力症特異的変化を明らかにした3)。iFremed Integrated Frontier Research for Medical Science Division

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