若手研究者PROFILE 2022
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出典業績研究内容血管を中心としたがん微小環境を制御し、新しいがん治療戦略の確立に努める54がん疾患・病態情報科学・技術KEYWORD1. 村松 史隆 (担当:共著, 範囲:生体イメージング解析が解き明かす真の腫瘍血管形成モデル) 月刊 細胞 ニューサイエンス社 2018年11月2. Kidoya H, Muramatsu F, Shimamura T, Weizhen J, Satoh T, Hayashi Y, Naito H, Kunisaki Y, Arai F, Seki M, Suzuki Y, Osawa T, Akira S, Takakura N. Regnase-1-mediated post-transcriptional regulation is essential for hematopoietic stem and progenitor cell homeostasis. Nature Communications. 10(1) 1072-1072. 2019. 3. Tsukada Y, Muramatsu F, Hayashi Y, Inagaki C, Hang S, Iba T, Kidoya H, Takakura N. An in vivo model allowing continuous observation of human vascular formation in the same animal over time. Scientific Reports. 11(1) 2021. 4. Muramatsu F, Kidoya H, Naito H, Hayashi Y, Iba T, Takakura N. Plakoglobin maintains the integrity of vascular endothelial cell junctions and regulates VEGF-induced phosphorylation of VE-cadherin. Journal of Biochemistry. 162(1) 55-62. 2017. 5. Muramatsu F, Kidoya H, Naito H, Sakimoto S, Takakura N. MicroRNA-125b inhibits tube formation of blood vessels through translational suppression of VE-cadherin. Oncogene. 32(4) 414-421. 2013. 「がん組織の血管は栄養や酸素を供給する輸送路であるため、これを断ち兵糧攻めにしよう」。このコンセプトのもと抗腫瘍血管療法が開発され、様々な臨床的トライアルがなされました5)。しかしながら、あまり華々しい成果は得られておらず、腫瘍と血管の関係性から見つめ直す必要が出てきました(FIGURE 1)。我々は、がん組織における「腫瘍血管」の成り立ちから、治療における血管の存在意義の再評価を通して、がんと血管の新規治療法開発を目指しています。これまでの研究では、がん細胞の運動ベクトルをはじめ(FIGURE 2)、分裂するがん細胞や死にゆくがん細胞と血管との距離、血管内皮先端細胞の運動ベクトル、腫瘍血管長といった、がんと血管をとりまく組織変化を生体イメージング解析しました1,3)。その結果、VEGF刺激に依存した腫瘍血管内皮先端細胞の運動は、腫瘍細胞の運動と強く相関し、古典的な腫瘍血管新生像を改める必要があることが分かりました。ま村松 史隆MURAMATSU Fumitaka微生物病研究所 情報伝達分野助教researchmaphttps://researchmap.jp/02141113血管をターゲットとした各種疾患の成因、病態の解明および、新規治療法の開発を目指し、ありのままの血管の姿を見つめなおす

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