若手研究者PROFILE 2022
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研究内容Wntシグナルの知られざるがん促進機構の解明と、核酸医薬を利用した創薬開発を目指す40がん先端医療イノベーション情報科学・技術分子・細胞機能・生命情報KEYWORD業績1. Harada A, Matsumoto S, Yasumizu Y, Shojima K, Akama T, Eguchi H, Kikuchi A. Localization of KRAS downstream target ARL4C to invasive pseudopods accelerates pancreatic cancer cell invasion. eLife. 10:e66721. https:// doi.org/10.7554/eLife.66721 2021.2. Kimura H, Sada R, Takada N, Harada A, Doki Y, Eguchi H, Yamamoto H, Kikuchi A. The Dickkopf1 and FOXM1 positive feedback loop promotes tumor growth in pancreatic and esophageal cancers. Oncogene. 40 (26), 4486–4502. https://doi.org/10.1038/s41388-021-01860-z 2021.がんの悪性化に関連した遺伝子が次々に同定されていますが、治療標的として開発が進んでいるものは多くありません。その理由の一つは治療薬の主流である低分子医薬や抗体医薬では、標的が限られるからです。そこで全ての遺伝子を創薬の対象にできる核酸医薬に着目し、その効果の評価を行っています(FIGURE 1)。これまでに生体内で標的分子の発現を効率よく抑制できることを確認しています。一方、標的についてはWntシグナルに注目しています。最も有名な発がんシグナルの一つにも関わらず、Wntシグナル経路を遮断する医薬品は実用化されていません。前述の創薬モダリティの問題に加え、Wntシグナルとがんの未知なる「接点」があるからだと考えています。そこで、タンパク質同士の相互作用をプロテオーム解析を軸に分析し、その作用点を解き明かそうとしています。これまでも新たなシグナル伝達分子を同定し、それに対する核酸医薬を作成してきました1, 2)(FIGURE 2)。原田 昭和HARADA Akikazu 医学系研究科 分子病態生化学大学院生がん促進シグナルを核酸医薬で断ち切る~新規がんシグナル経路の分子実体の解明と、その治療標的としての可能性の追究~

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