若手研究者PROFILE 2022
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今後の見通し創薬研究や再生医療、基礎研究など多岐にわたる分野へ、作製した肝細胞の応用を目指す■研究ポリシー独りよがりな研究とならないように心がけています。社会的意義や学術的価値などのバランスを意識しながら、研究の方向性を定めています。加えて、私自身や学生がワクワクするような研究テーマであることも大事にしています。今後も、多くの人の健康維持に貢献できるような研究を展開し、その研究を楽しみながら、ライフサイエンスの発展に尽力していきます。33機能や汎用性の低さが課題とされているため、現在は、この課題を解決し得る培養技術の開発に取り組んでいます(FIGURE 3)。従来の技術と比較して、高機能な肝細胞を手軽に作製可能な技術の開発に成功してきました。しかし、解決すべき課題も残されているため、実用化には至っていません。引き続き、さらなる改良を試み、より良い肝細胞の作製技術の開発とその創薬応用を目指します。また、再生医療への応用も見据えています。肝臓移植は、ドナー不足が課題です。ヒトiPS細胞やオルガノイドから作った肝細胞が移植できれば、ドナー不足を解消できると考えられます。今後は、肝細胞移植の実現へ向けた検討にも挑戦していきたいです。私たちの目指す高機能かつ高純度で汎用性の高い肝細胞の作製技術が完成すれば、医薬品開発や再生医療だけでなく、肝臓疾患の病態解明や肝発生機序の解明など、社会的にも学術的にも多くの分野へ影響を及ぼす技術になると期待しています。FIGURE 1:既存のヒト肝細胞モデルおよび、新規ヒト肝細胞モデル候補の特徴を示す。ヒト肝細胞に代わる高機能かつ高純度な肝細胞供給源の開発が求められている。FIGURE 2:ヒトiPS細胞から肝細胞への分化誘導法の改良を行った結果を示す。より高機能・高純度な肝幹前駆細胞から、より高機能な肝細胞の作製に成功した。FIGURE 3:機能が低下した肝臓オルガノイドの分化・成熟化条件を独自に開発し、その結果を示す。肝臓オルガノイドにおける肝機能を向上させることに成功した。iFremed Integrated Frontier Research for Medical Science Division

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