若手研究者PROFILE 2022
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今後の見通し新しい評価系を構築し、リソファジーの包括的な理解を目指す■研究ポリシー2019年東京工業大学生命理工学研究科にて博士号(理学)取得。学生時代は大隅良典先生、中戸川仁先生のもとで、「出芽酵母のオートファジーにおける隔離膜前駆体の形成と膜伸張のメカニズムの研究」というテーマに取り組んでいました。これまで酵母を用いて生化学、分子生物学、細胞生物学的な手法で研究を進めてきたこともあり、タンパク質の挙動に興味が向きがちです。現在は、動物細胞でのリソファジーを観察していることもあり(FIGURE 3)、生理機能や病態といった、より出口側にも興味を持っていきたいと考えています。27ジー」と提唱しました2)(FIGURE 2)。現在、私はこのリソファジーの分子機構の解明に取り組んでいます。近年、私達の研究室では、リソファジーという存在を明らかにしました。さらにマウスにおいて高尿酸血症における腎症の病態悪化を抑制することを報告しました2)。しかしながら、「損傷したリソソームはどの様な状態であり、オートファジーにどのように認識、隔離されるのか」といった根本的な疑問は未だ解明されていません。現在私は、リソファジーに対する新規評価系の確立を試み、リソファジーの分子機構の解明に取り組んでいます。今後、新規評価系の開発に成功し、リソファジーの分子機構の包括的理解が進むことで、細胞におけるリソソーム損傷応答の全体像の理解や、ヒトにおけるリソファジーの生理的意義の解明といった発展が期待されます。さらには予防薬、治療薬や医療技術開発のための基盤情報として利用されることも期待できます。FIGURE 1:オートファジーの生理学・病理学的重要性発生や分化、老化等の生理機能並びに、神経変性疾患等の疾患にも関与する。オートファジーは生物にとって重要な役割を担っている。FIGURE 2:リソファジーの模式図損傷リソソームがオートファゴソームと呼ばれる膜構造に認識・隔離され、正常なリソソームと融合し、除去されると考えられている。FIGURE 3:当研究室の共焦点顕微鏡(FV3000)オートファジーやリソファジーを観察する際には、当研究室ではオリンパス社の共焦点レーザー走査型顕微鏡FV3000を用いる。iFremed Integrated Frontier Research for Medical Science Division

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