若手研究者PROFILE 2022
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今後の見通し正常免疫マウスを用いた、Wntシグナル制御因子発現がんモデルの構築とフェノタイプの解析■研究ポリシー社会の一員として、公費を使って研究に従事していることの公共性を忘れず仕事に取り組むことを心がけています。研究においては常にデータと誠実に向き合うことを心がけています。21ようながんの表現型に関与するかの解析を進めています。我々の研究室ではHTVi法を用いてマウス肝臓に対して任意のoncogeneを導入するマウス肝発がんモデルが確立しており、DKK1およびβカテニン高発現肝発がんマウスモデルを作製しています(FIGURE 2)。また、ドキシサイクリン誘導性にDKK1およびβカテニンを発現するマウス膵がんオルガノイドを正常免疫マウスの同所に移植するモデルを作製しています(FIGURE 3)。これらのモデルにおいて作製した腫瘍を免疫組織学的検討に解析し、腫瘍局所に浸潤する炎症細胞の数、サブタイプ、炎症細胞におけるDKK1受容体の発現を解析するとともに、摘出した腫瘍組織を構成する全細胞に対して一細胞シークエンスを行い、特に免疫細胞においてWntシグナル制御因子の発現依存性に制御される遺伝子発現の網羅的解析を行い、がん微小環境における新たな機能を明らかにしようと考えています。FIGURE 1:分泌蛋白DKK1が受容体CKAP4と結合し、AKTの活性化および転写因子FOXM1の発現を介して細胞増殖を促進する。FIGURE 2:DKK1高発現マウス肝がんモデル(Trp53 KO/c-Myc/DKK1)HTVi法を用いてマウス肝臓にDKK1高発現肝腫瘍を誘導した。FIGURE 3:ドキシサイクリン誘導性DKK1発現マウスオルガノイドを正常免疫マウス膵同所移植に移植し、DKK1高発現浸潤型膵管がんの形成を確認した。iFremed Integrated Frontier Research for Medical Science Division

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