若手研究者PROFILE 2022
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今後の見通しヒトにやさしいアルゴリズム開発を目指して■研究ポリシーバイオインフォマティクスにおけるアルゴリズム開発では、一見すると無関係に思われる情報科学や数理科学の手法により、生命科学の問題をうまく解ける面白さがあります。巧妙にモデル化するために問題の本質を見抜くことを重視しています。また、既存ツールの枠を超え、「その手があったか」と思わせる手法を提案できるよう努力しています。「紙とペンとコンピューターで、時間、空間を選ばず、楽しみながら生命医科学に貢献する」をモットーに研究活動を行っています。15分子生物学的実験(ウェット)で得られたデータを、情報解析(ドライ)によりコンピューターを使って網羅的に調べるという流れが欠かせない時代となりました。データ解析の心臓部であるアルゴリズムには、入力データごとに微調整が必要なパラメータが存在することが多く、ユーザーは初期設定のままツールを動かすことで、真の解釈から遠ざかる可能性があります。そのため、性能の良いアルゴリズムを考案することも重要ですが、現状ツールを使うヒトの判断も同等に重要になります。私はアルゴリズム開発という工学的立場から、ユーザーの負担を軽減するためパラメータを自動で最適化できる(究極的にはパラメータフリーの)アルゴリズムが必要と考えており、今後開発を成功させることで、より一層の生命医科学の発展につなげたいと思います。FIGURE 1:ヘテロな細胞集団のシングルセルレベルでの動態予測。FIGURE 2:RNAの塩基配列から2次構造(塩基対の集合)を予測。FIGURE 3:研究の概要。図は遺伝子発現行列から細胞集団のクラスタリング結果を示す。iFremed Integrated Frontier Research for Medical Science Division

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